ホーム » ニュースとレポート » ニュース・リリース » 日立ファウンデーション、 2011年度吉山青年起業家を発表

日立ファウンデーション、 2011年度吉山青年起業家を発表

Yoshi2011Thumbnail

ワシントンDC(2011年10月19日)- アメリカの経済は低迷し行き詰まりを見せています。アメリカ人の多くは、アメリカの主導者がこの状況を改善できるとは考えていません。では解決策はどこにあるのでしょうか。その答えのひとつは、つねに米国を支えてきた「起業家精神」に見出すことができます。本日、日立ファウンデーションは、2011年度吉山青年起業家として選ばれた7人の若手起業家を発表しました。

 「学業成績の低い学区の学生を対象としたメンタリング(個別指導)、荒れ果てた建物のペンキ塗り、お茶の葉の収穫、事業立ち上げのためのマイクロ融資など、活動分野は様々ですが、これらの起業家たちは、アメリカ人の柔軟な創造力を証明しています」と、日立ファウンデーションの理事で、吉山青年起業家選考委員会議長を務める、TidesのCEOメリッサ・ブラッドレー氏は語っています。「彼らは、個人でも米国の経済に貢献できることを示してくれています。また、彼らは、営利原則に基づいた社会貢献を行っています。」

吉山青年起業家たちは、米国における低所得層の経済機会の拡大に役立つ事業手法を実証しています。今年、日立ファウンデーションの青年起業家プログラムは2年目を迎えました。吉山青年起業家として選出されるための条件は、30歳未満で事業を立ち上げていること、そしてその事業が、米国の低所得層の人々を支援する雇用の創出、商品又はサービスの提供、内部管理手法の実践を行う持続可能なものであることです。

吉山青年起業家たちは、個人あるいはチームとして、アメリカの若者が米国経済の発展に貢献する力を有し、実際にその力を発揮していることを証明しています。

2011年度吉山青年起業家と彼らの事業の内容は次の通りです。

アンディ・ポズナー(Andy Posner):Capital Good Fund(ロードアイランド州プロビデンス)

アンディ・ポズナー(26歳)は、資本金を利用する機会の取得が、個人の生活、地域社会、環境などを変化させる可能性につながると信じている。2009年に、修士号取得を目指す学生だった彼は、Capital Good Fund (CGF)を仲間と共同で立ち上げた。CGFは、誰もが参加できる、貧困なきグリーン経済を米国に構築することを使命とする、非営利のマイクロ融資組織である。アンディはさらに大学院で、何百万人ものアメリカ人が、言語的・文化的・法的な障壁や、クレジット歴の不良や欠如が原因で、一般の金融システムから全く疎外されていることを知った。GGFの融資は、公正な融資の提供と、金融指導を通じて、低所得層の人々が金融システムを利用できるよう支援している。同時にCGFは、CGFのサービス利用者に、自宅や事業をより環境に配慮したものにし、環境問題について積極的に活動するよう働きかけている。CGFは、現在、500ドルから5000ドルまでの事業融資と、200ドルから5000ドルまでの個人融資を提供している。これまで、CGFは、合計149件、総額16万3000ドルを越える融資を行ってきた。さらに、CGFは、財政および事業に関する個人指導や、無料の税金申告書類作成サービスを実施している。これまで、CGFは財政とビジネス関連の指導を102人に,、税金申告書類作成サービスを26 人に提供している。

レイシー・アズビルとエラナ・メッツ(Lacy Asbill and Elana Metz): Moving Forward Education(カリフォルニア州エメリービル)

Moving Forward Education(MFE)は、カリフォルニア州で、貧しい有色人種の学生の学業面や精神面での向上を支援する、多世代のメンタープログラムである。同プログラムはレイシー・アズビル(30)とエレナ・メッツ(32)によって共同設立された。二人は、学業成績を向上する上で重要となる、精神的健全さに焦点を合わせた、若者による若者のための組織を思い描き、この組織を立ち上げた。

MFEは特徴ある2つのプログラムを実施している。ひとつは若い女の先生による女子向けのGirls Moving Forwardプログラムで、もうひとつは、若い男の先生による男子中心のBoys Moving Forwardプログラムである。Girls Moving Forwardは、女子が自信と自己信頼を構築し、常につきまとう容姿や体型へのプレッシャーを克服し、女子同士の健全な関係を築くことに重点を置く。一方、Boys Moving Forwardは、少年を対象に、自分の感情をつかみ、表現することを教え、彼らの衝動的行動を抑制する能力と対立を解決する能力を養うと共に、彼らが必要としている優れた男性の役割モデルを提供する。いずれのプログラムにも、読書、英語、数学の科目が含まれる。MFEは2006年の設立以来、約3000人の学生にサービスを提供しており、ほとんどの場合、家族に負担がかからないよう無料で提供している。さらに、MFEはこれまで500人の若者を、教育分野の仕事に従事できるよう養成した。

タイラー・ゲイジとダン・マコンビー(Tyler Gage and Dan MacCombie): Runa(ニューヨーク州ブルックリン)

エクアドル、ペルー、ブラジルの先住民コミュニティを訪れ活動するうちに、Runaの共同設立者タイラー・ゲージ(25)とダン・マコンビー(26)は、先住民が直面する矛盾を目の当たりにした。先住民は文化遺産の保護を望む一方で、グローバル化が進む経済においては、お金を稼いで家族を養わなければならない。タイラーとダンは、ワユサ(アマゾンで育つ同名の木から採れる天然カフェインを含むお茶の葉)に輸出製品としての商業的可能性があることを発見し、ワユサを世界に紹介するために、取引を公正に行うフェアトレード事業のRunaを立ち上げた。Runaは、ボトル入りティー飲料、特選袋入りティー、卸売り用ワユサなどの生産と販売を行っている。Runaは、ワユサ製品を初めてアメリカに持ち込んだ企業である。彼らは、先住民キチュワのための経済基盤を生み出しただけでなく、米国に住むエクアドル出身の人々のために、販売員や施設管理者としての雇用を創出している。今後Runaは、オーガニックティー製造工場を、ニューヨーク州のブルックリンに建設する予定である。エクアドル人はニューヨークに住む移民の中で最も人口が多いグループのひとつである。またRunaは、アマゾン熱帯雨林地域の先住民農家や森林再生の支援も行っている。事業の立ち上げから1年も経たないうちに、Runaは、800人以上の農家と協力し、彼らの土地に10万本以上の植林を行い、ワユサの木から収穫した葉に6000ドル以上を支払った。それは、先住民の補助収入となっている。

ギャレット・ニーマン(Garrett Neiman): SEE College Prep(カリフォルニア州サンフランシスコ)

ギャレット・ニーマン(23)は、スタンフォード大学で経済を専攻していたが、大学進学機会の不公平さを解消し、低所得層の学生の大学の選択肢を広げるために、教育分野での自らの研究と実務経験を生かそうと決心した。ギャレットはジェシカ・ペレズと共同で、低所得層の学生にニーズに応じた、唯一のSAT(大学進学適正試験)準備カリキュラムを提供する組織を立ち上げた。これらの学生は、SAT試験対策用プログラムを提供する業界から締め出されることが多く、その結果、低所得層の学生と、富裕層の学生の間でほぼ300点の差が生じている。SEEは、綿密なSAT試験対策と大学進学相談のプログラムを提供しており、それは、低所得層の学生がSAT試験で高得点を得て、大学入学を果たし、就学援助を受けるために必要な、意欲と刺激、メンター指導、ノウハウを提供する。

SEEのプログラムは、教師や教材が十分でない学校の授業で、学生が学び得なかった可能性がある主要科目に焦点を絞っている。SEEに参加する学生たちは、数学や読み書き能力を強化するSEEのプログラムは、高校や大学での普段の成績にも良い影響を与えていると言っている。授業やメンター指導を行うチームの大部分が有色人種で、その多くが家族で初めての大学進学を果たした人々である。彼らはSEEの学生にとって身近に存在する模範となっている。SEEの学生たちは、平均でSATが202ポイント上昇するだけでなく、プログラムが修了するまでに、大学入学のための小論文と自己紹介書の下書きを終えており、大学進学の準備を整えている。

ブレイン・ミッケンズ(Blaine Mickens): Young Picasso Painting(オハイオ州クリーブランド)

Young Picasso Painting(YPP)は、環境に配慮したペンキ塗りを専門とする企業で、地元の貧しいコミュニティの向上を目指して設立された。ブレイン・ミッケンズ(21)は、元受刑者を含む貧困層の人々を雇用し、低所得地域の荒廃した建物の外観を改善する仕事をすることで、貧困の連鎖を断ち切るためにYPPをを創設した。また、YPPは、揮発性有機化合物を含まないスパックル(ペンキを塗る前に壁のひびや穴に詰める補修材)や、低揮発性有機化合物を使用するなど、環境に配慮した、持続可能な手法を事業運営に採りいれている。YPPは、純利益の5パーセントを、宗教団体、保育所、その他の社会に有益な事業のビルディングの修復作業を含む、コミュニティ貢献活動用に設置した「ギブバック基金」に配分している。YPPは、地域コミュニティのモラルと不動産価値を高めるため、空き家の外壁の落書きを消しペンキを塗っている。また、YPPは恵まれない青少年のための夏季インターンシップも実施している。

吉山青年起業家に選ばれた各個人または事業チームには、能力開発と事業の強化を助けるために、2年間の助成と技術的支援が提供されます。また彼らは、Investors’ Circle、Social Venture Network、B-Lab、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院、PICnetなど、様々な分野の主要組織とのパートナーシップを通して、最新のメンタープログラムでの指導や、各自の目標達成のためのコーチングを受ける機会を与えられると共に、ダイナミックなピア・ラーニング(同じ目的を持つ人々が各自の知識や経験を仲間と共有し合って行うグループ学習活動)のネットワークに参加することができます。

2011年度吉山青年起業家の表彰式は、2011年10月25日にワシントンDCで開かれる特別イベントにおいて行われます。本件に関するさらに詳しい情報は http://www.hitachifoundation.org をご覧下さい。また受賞者の写真はご要請に応じて提供することが可能です。

日立ファウンデーションは、1985年に日立製作所によって設立された、独立した非営利のフィランソロピー組織です。様々分野で活躍する優秀なアメリカ人で構成される理事会によって運営される日立ファウンデーションは、アメリカの低所得労働者とその家族や、彼らが住む地域コミュニティのために、実質的かつ持続可能な経済機会を創出するビジネス・プラクティスの発見と普及に努めています。